※この記事はネタバレを含みます。
映画を観終わった後、思ったのは「悪者とされているものが、必ずしも悪者ではない」ということです。
民衆から「悪い魔女」と言われていたエルファバは、身勝手な人たちの手によって悪者として仕立て上げられてしまっていました。
なぜエルファバは悪者にされてしまったのか。親友であるグリンダは善い魔女となったのか。
この記事ではそんな疑問を、独自目線で考察していきます。
- エルファバが”悪い魔女”にされてしまった理由
- グリンダが”善い魔女”と呼ばれるようになった理由
- 独自考察|「Defying Gravity」に込められた意味
基本情報
| 作品名 | ウィキッド ふたりの魔女 |
| 監督 | ジョン・M・チュウ |
| 上映時間 | 161分 |
| 日本劇場公開日 | 2025年3月7日 |
| キャスト | シンシア・エリヴォ(エルファバ役) アリアナ・グランデ(グリンダ役)ほか |
| 主な受賞歴 | 第97回アカデミー賞 美術賞・衣装デザイン賞 |
あらすじ
オズの国に生まれた緑色の肌を持つエルファバは、その見た目から周囲に疎まれて育ちました。シズ大学に入学した彼女はそこで、見た目が良くて人気者のグリンダと出会い、偶然ルームメートとなります。2人は正反対の性格で反発し合いながらも友情を深め、親友となっていきます。
やがてエルファバは魔法の才能を見出されます。その評判を聞いた「オズの魔法使い」からエメラルドシティへの招待状が届き、グリンダとともに向かいます。しかしそこで、オズの国を支配する権力者の闇を知ってしまうのです。それをきっかけに2人の運命は大きく変わり、異なる道を歩むことになります。なぜ2人は「悪い魔女」と「善い魔女」と呼ばれることになるのか。その答えは、権力者のエゴにありました。
エルファバが”悪い魔女”にされた理由
エルファバが「悪い魔女」にされたのは、オズの国の権力者にとって都合が悪い存在だったからです。
オズの国で偉大なる「オズの魔法使い」は本当は魔法の才能を持っておらず、古くから伝わる魔導書グリムリーを使うことができませんでした。それでも民衆には偉大な魔法使いとして信じ込まされていたのです。そんな彼がエルファバの魔法の才能に目をつけ、利用しようと考えました。
しかしエルファバが知ってしまったオズの国の闇は、才能の話だけではありませんでした。オズの国では動物と人が共生していたはずが、動物たちは権利を奪われつつありました。その裏には、民衆の不満を解消し結束させるために「共通の敵」を作るというオズの魔法使いの思惑がありました。
全ての真実を民衆に伝え、動物を救おうとしたエルファバは、オズの国を支配している権力者にとって邪魔な存在でした。操ることも黙らせることもできない彼女を「恐ろしい魔女だ」と伝えます。民衆へ真実が明かされることがないよう権力者のエゴによってエルファバは「悪い魔女」にされてしまったのです。
まるみ「悪者」を作ることで民衆をまとめようとする構図はどこか現実社会と重なって見えました。真実を嘘と信じ込ませるような情報操作も知らないうちにされてしまっているのかもしれませんね。
グリンダが”善い魔女”と呼ばれるようになった理由
グリンダもエルファバと同じく権力者に仕立て上げられた「魔女」でした。
エルファバが「排除すべき悪者」とされたのに対し、グリンダは「民衆が信じるべき善い魔女」とされたのです。魔法の才能を持たないグリンダが「善い魔女」として称えられたのは、エルファバという「悪」があるからこそ、グリンダという「善」が際立つ。2人はセットで、権力者が都合よく作り上げた物語の中に組み込まれてしまったのだと感じました。
グリンダは人気者であること、権力者の行いは正しいことだと信じていました。だからこそエルファバに対し、今の秩序に従うことを促しました。しかし、同じ真実を目の前にしたとき、権力者の嘘を「許せない」と感じたエルファバとは意見が分かれ、2人は別々の道を歩むことになります。



価値観が違うことは良い悪いではありません。権力者によって利用され、”対立”させられてしまっていなければ、2人はずっと親友でいられたかもしれない。そう思うと、切なくてなりませんでした。
独自考察|「Defying Gravity」に込められた意味
この映画にはたくさんの楽曲がありますが、私が一番印象に残っているのは「Defying Gravity」です。
「Defying Gravity」とは「重力に逆らう」という意味です。しかし私はこの「重力」を「常識」に置き換えてみると、この曲の意味がより深く伝わってくる気がしました。
「常識に逆らう」とすれば、社会のルール、他人の目、権力者が作り上げた「正しさ」に逆らうと解釈できます。エルファバはそういった常識すべてを捨てて、自分の信念だけを持って生きていくという決意を歌っている。一方グリンダは、常識の中で生きていくことを選びます。価値観が違うから同じ道は歩めない。でもそれぞれの選択を尊重し、互いにエールを送ります。
I hope you’re happy(あなたが幸せであることを祈ってる)
この曲には、2人の友情や決意などのすべてが詰まっています。エルファバが空へ飛び立つあのシーンを思い出すたびに、今も涙が出そうになります。
こんな人におすすめ
- 「善悪とは何か」を映画を通して考えたい方
- ミュージカル映画・音楽が好きな方
- 友情を描いた映画が好きな方
まとめ
- エルファバが悪者にされたのは、権力者にとって都合が悪い存在だったから
- グリンダも権力者に利用されていた。2人の道が分かれたのは価値観の違いから
- 「Defying Gravity」の重力を常識に置き換えると、2人それぞれの選択の意味が深く伝わってくる
2作目の『永遠の約束』では2人のその後が描かれます。ぜひあわせてご覧ください。


